2026年10月19日、出入国在留管理庁は、**「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書(参考様式第1-32号)」**に関する取扱いを見直し、「特定技能制度に関するQ&A」のQ102~Q105を更新しました。
今回の改訂では、これまで建設会社から疑問の多かった、指導対象者が一時的に不足している場合の取扱いや、複数の現場・別事業所・別部署で働く場合の考え方などが具体的に示されています。 法務省
建設現場では、毎日同じメンバーで固定班を組むとは限りません。
現場によって職長やサブ、一般作業員の組合せが変わったり、新しい社員が途中から入社したり、退職・休職によって一時的に人員が不足したりすることがあります。
これまでの参考様式第1-32号では、こうした建設現場の実態と書式上の指導関係をどのように整理すればよいのか、判断に迷う場面もありました。
今回のQ102~Q105では、一時的な指導対象者不足や、複数の就業場所・部署がある場合について、一定の柔軟な取扱いが示されています。 法務省
この記事では、建設会社の経営者・外国人雇用担当者の方に向けて、
「指導対象者が足りない場合はどうなるのか」
「現場や部署が違っていてもよいのか」
「旧様式ですでに申請している場合はどうなるのか」
を、建設現場の実情を踏まえてわかりやすく整理します。
2026年10月19日に何が変わった?
参考様式第1-32号については、2026年9月10日の時点では、指導対象者が一時的に不足している場合や、フルタイムではない場合などについて、**「指導対象者の考え方を含めて見直しを検討している」**とされていました。
その後、2026年10月19日に出入国在留管理庁が運用を見直し、Q102~Q105を更新しました。今回の見直しでは、これまで不明確だった点について、より具体的な取扱いが示されています。 法務省
主なポイントは次の4つです。
- 指導対象者が一時的に不足していても、一定の場合は理由を記載して申請できる
- 「一時的な不足」の例として、採用プロセス中、離職、休職などが示された
- 原則は同一事業所・同一部署だが、複数の就業場所や組織体制によっては別事業所・別部署でも柔軟に扱われる
- 旧様式で申請中の案件も、見直し後の取扱いで審査される
特に建設会社にとって重要なのは、「固定された班や部署でなければならない」と一律に考える必要がなくなった点です。
建設現場では、現場ごとに班編成が変わったり、複数の現場を行き来したりすることがあります。今回の改訂によって、こうした実際の就業形態を踏まえて判断される余地がより明確になりました。
ただし、柔軟な取扱いが示されたからといって、指導体制を曖昧にしてよいわけではありません。
誰が、誰に、どのような指導をしているのかを説明できることが、これまで以上に重要になると考えます。
Q102|指導対象者が一時的に不足していても申請できる場合がある
建設分野の特定技能2号では、2号外国人が複数の技能者を指導しながら作業し、工程を管理する立場であることが重要です。
そのため、これまでは
「必要な人数の指導対象者がそろっていなければ、そもそも申請できないのではないか」
という不安がありました。
今回のQ102では、分野ごとに必要とされる指導対象者数を一時的に満たしていない場合でも、参考様式第1-32号の留意事項5にチェックを入れ、不足している理由を記載して申請する取扱いが示されています。 (moj.go.jp)
つまり、
「今この瞬間に必要人数がそろっていない=直ちに申請不可」
と単純に考える必要はなくなりました。
ただし、これは
「指導対象者がいなくてもよい」
という意味ではありません。
なぜ一時的に不足しているのか、今後どのように指導体制を整える予定なのかを説明できることが大切です。
建設会社としては、人数だけを見るのではなく、実際の指導体制と、その不足が一時的なものだと説明できる状態を整理しておく必要があります。
Q103|「一時的な不足」とは?
Q103では、指導対象者がいない・不足している状態が「一時的なもの」と考えられる例として、次のようなケースが示されています。
- 指導対象者が採用プロセス中で、まだ確定していない場合
- 指導対象者が離職した場合
- 指導対象者が休職した場合
つまり、建設会社の人員が一時的に変動したことで必要な指導対象者数を満たせなくなった場合でも、直ちに申請できないと決まるわけではありません。法務省
ただし、ここで注意したいのは、出入国在留管理庁が
「一時的とは○か月以内」
「○日以内に必ず指導対象者を確保しなければならない」
といった具体的な期間を示しているわけではないという点です。
そのため、会社としては、
なぜ現在不足しているのか
今後どのように指導体制を整える予定なのか
を説明できるようにしておくことが重要です。
特に建設会社では、採用、退職、休職、転籍などによって人員構成が変わることがあります。
今回のQ103は、こうした実際の人員変動を前提にした取扱いが示された点で、実務上重要な改訂だと思います。
未入社の採用予定者には注意
Q103では、「採用プロセス中」で指導対象者がまだ確定していない場合も、一時的な不足の例として示されています。
これは、これから新しい外国人社員を採用する予定がある建設会社にとって、かなり重要なポイントです。
実際の建設会社では、面接を終えて採用が決まっていても、入国・入社まで数か月空くことがあります。
当社でも、すでに採用を決めている外国人材がいる一方で、実際の入国・入社はこれから、というケースがあります。
こうした場合、
「採用は決まっているから、現在の指導対象者としてそのまま記載してよい」
と単純に考えるのは慎重であるべきです。
Q103が示しているのは、採用プロセス中で指導対象者が確定していない状態も、一時的な不足として説明できる場合があるということです。
まだ入社していない人を、現在在籍している指導対象者と同じように扱えるかどうかは、公式資料上、必ずしも明確ではありません。
そのため、採用決定済みの人材がいる場合には、
- いつ採用を決めたのか
- いつ頃の入社を予定しているのか
- 入社後にどのような役割を予定しているのか
- 現在なぜ指導対象者が不足しているのか
といった事情を整理し、将来の指導予定として説明できるようにしておくことが大切だと考えます。
「採用予定者がいる=現在の指導対象者として記載できる」とは限らない。
ここは、実際の申請時に最新の運用や入管の取扱いを確認しながら慎重に整理したいポイントです。
Q104|別の現場・別部署でも柔軟に扱われる場合がある
今回の改訂で、建設会社にとって特に重要なのがQ104です。
原則として、2号特定技能外国人と指導対象者は、同一の事業所で勤務し、同一の所属部署にいることが基本とされています。
しかし、Q104では、
- 就業場所が複数ある場合
- 組織や部署の体制上、実際に適切な指導が行われている場合
などについて、別の事業所や別部署であっても柔軟に取り扱う考え方が示されています。
これは、建設会社にとって非常に実務的な内容です。
実際の建設現場では、
- 毎日同じ現場とは限らない
- 班編成が固定ではない
- 今日はAさんが職長、明日はBさんが職長ということもある
- ある日はサブ、別の日は一般作業員として入ることもある
- 同じ外国人社員を複数の熟練技能者が指導することもある
といった働き方は珍しくありません。
当社も、まさにそのような小規模建設会社です。
そのため、形式的に
「同じ部署・同じ班でなければならない」
と考えるよりも、
実際に誰が誰を指導しているのか
どの現場で、どのような技能指導・安全指導をしているのか
を説明できることの方が重要になります。
今回のQ104は、こうした建設現場の実態を踏まえて、固定的な組織図だけでは判断しない余地を明確にしたものと考えられます。
ただし、「柔軟に扱われる」ということは、指導関係が曖昧でもよいという意味ではありません。
誰が、誰に、何を、どのように指導しているかを、実態に沿って説明できること
が大切です。
組織図だけでは建設現場の実態が見えない
参考様式第1-32号を考えるとき、会社の組織図だけを見て指導関係を整理しようとすると、実際の建設現場と合わないことがあります。
建設現場では、
- 現場ごとに班編成が変わる
- 職長が日によって変わる
- 技能指導をする人と安全指導をする人が異なる
- 同じ外国人社員を複数の熟練技能者が指導する
- 新しい社員が途中から入る
- 退職・転籍・休職などで指導関係が変わる
といったことが珍しくありません。
そのため、形式上の組織図だけで、
「この人が上司だから、この人が指導者」
と決めてしまうと、実際の現場での指導関係とずれてしまうことがあります。
今回のQ104では、原則として同一事業所・同一部署という考え方を維持しつつも、複数の就業場所がある場合や、組織・部署の体制から見て適切な指導が行われていると認められる場合には、柔軟に取り扱うことが示されました。法務省
これは、建設会社にとって非常に大きなポイントです。
大切なのは、
誰が、誰に、何を、どの現場で、どのように指導しているのか
を実態に沿って説明できることです。
書類上だけで上下関係を作るのではなく、日々の班編成や技能指導、安全指導の実態を整理しておくことが重要だと考えます。
Q105|旧様式ですでに申請している場合は?
2026年8月20日から10月19日の見直しまでの間に、旧参考様式第1-32号を使って申請した案件についても、見直し後の取扱いで審査されます。
出入国在留管理庁は、2026年10月19日に「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」を更新し、あわせて参考様式第1-32号に関するQ102~Q105を更新しています。 法務省
Q105では、旧様式で申請中の案件について、原則として新しい様式を提出する取扱いが示されています。
一方で、旧様式において、すでにその分野で必要とされる人数の指導対象者が適切に記載されている場合には、改めて新様式への差替えを求めないとされています。
つまり、
「旧様式で提出したから、必ず全員が差し替えになる」
というわけではありません。
現在申請中の会社は、まず、提出済みの参考様式第1-32号に、
- 必要な人数の指導対象者が記載されているか
- 現在の指導体制と内容が一致しているか
- その後に退職・休職・採用などの人員変動がないか
を確認しておくことが大切です。
なお、申請中に人員構成や指導体制が変わっている場合には、旧様式の記載内容だけで判断せず、現在の実態に合わせてどのような補足・差替えが必要かを確認するのが安全です。
建設会社が今から整理しておきたいこと
今回の改訂で、指導対象者の取扱いは以前よりも、実際の人員変動や現場の働き方に合わせて考えやすくなりました。
一方で、その分、申請時には
「実際には誰が、誰に、どのような指導をしているのか」
を説明できることが、これまで以上に重要になると考えます。
建設会社では、日々の現場や班編成が変わるため、あとから指導実態を確認しようとしても、記録が残っていないと説明が難しくなることがあります。
そのため、日頃から次のような資料や記録を整理しておくとよいと思います。
- 作業日報
- 作業員名簿
- 班編成
- KY記録
- 作業手順書
- 技能指導の記録
- CCUSの就業履歴
これらは、参考様式第1-32号の一律の必須添付書類という意味ではありません。
ただし、
「この現場で、誰が誰を指導していたのか」
「技能指導や安全指導をどのように行っていたのか」
を後から説明するための資料として、整理・保存しておくことには大きな意味があります。
特に、小規模建設会社では、固定班ではなく、現場ごとに人員配置が変わることがあります。
だからこそ、形式的な組織図だけに頼るのではなく、実際の現場運用が分かる記録を残しておくことが重要です。
書類上の「人数合わせ」にしないことが大切
今回の改訂によって、指導対象者が一時的に不足している場合や、複数の就業場所・別部署で勤務している場合について、以前よりも柔軟な取扱いが示されました。
ただし、これは
「とりあえず人数だけそろえて名前を書けばよい」
という意味ではありません。
特定技能2号は、熟練した技能を持ち、複数の技能者を指導しながら作業し、工程を管理する立場です。
そのため、参考様式第1-32号で重要なのは、書類上の人数ではなく、
実際に誰が誰を指導しているのか
どのような技能指導・安全指導を行っているのか
2号外国人が会社の中でどのような役割を担っているのか
を、実態に沿って説明できることです。
建設会社では、人員の入退社、休職、現場変更、班編成の変更などによって、指導関係が変わることがあります。
だからこそ、申請のために形式だけを整えるのではなく、実際に外国人技能者を育て、さらにその外国人自身が後輩を育てられる体制を会社として整えておくことが大切だと考えます。
天道行政書士事務所では、在留資格申請だけを見るのではなく、技能、班長経験、CCUS、安全教育、日本語、受入体制まで含めて、建設現場の実態につなげて考えることを大切にしています。
今回の改訂も、単に新しい様式に対応するだけではなく、自社の現場で実際に誰が誰を指導しているのかを見直す機会として捉えるとよいのではないでしょうか。
まとめ|2026年10月19日改訂で何が変わったか
2026年10月19日の改訂では、参考様式第1-32号とQ102~Q105の見直しにより、指導対象者に関する取扱いがより具体的になりました。
特に建設会社にとって重要なのは、次の点です。
- 指導対象者が一時的に不足していても、理由を記載して申請できる場合がある
- 採用プロセス中、離職、休職などが「一時的な不足」の例として示された
- 原則は同一事業所・同一部署だが、複数現場・複数就業場所・組織体制によっては柔軟に扱われる
- 旧様式で申請中の案件も、見直し後の取扱いで審査される
今回の改訂は、建設現場のように日々の班編成や就業場所が変わる業種にとって、実態に合わせて整理しやすくなった改訂だと考えられます。
一方で、柔軟になったからこそ、
「誰が、誰に、何を、どのように指導しているのか」
を説明できることがより重要になります。
書類上の人数合わせではなく、実際の指導関係、班編成、技能指導、安全指導、人員の入退社や休職といった変化を、日頃から整理しておくことが大切です。
特定技能2号への移行を考えている建設会社では、今回の改訂を機に、現在の指導体制が実際の現場と合っているかを確認しておくとよいでしょう。
参考:公式一次資料
出入国在留管理庁「特定技能制度」
2026年10月19日の更新情報として、「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」の更新と、参考様式第1-32号に関するQ&A(Q102~Q105)の更新が掲載されています。 法務省
特定技能制度|出入国在留管理庁
出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」
Q102~Q105の本文を直接確認できます。指導対象者の一時的不足、採用・離職・休職、別事業所・別部署、旧様式申請中案件の取扱いが整理されています。 法務省
特定技能制度に関するQ&A|出入国在留管理庁
国土交通省「特定技能制度(建設分野)概要・関係資料」
建設分野の2号特定技能外国人に求められる班長としての実務経験や関連様式を確認できます。 国土交通省
特定技能制度(建設分野)|国土交通省
出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」
最新の参考様式第1-32号を確認する際はこちらを使います。
特定技能関係の申請・届出様式一覧|出入国在留管理庁
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一級とび技能士に合格しても、指導対象者の関係で2号申請にすぐ進めないケースについてはこちらの記事で紹介しています。
建設分野の特定技能2号についてご相談ください
天道行政書士事務所では、建設分野の特定技能1号・2号に関する在留申請だけでなく、班長経験、CCUS、指導体制、受入企業側の運用整理まで含めてご相談をお受けしています。
今回の参考様式第1-32号の改訂についても、単に書類の書き方だけを見るのではなく、実際の現場で誰が誰を指導しているのか、会社の体制がどのようになっているのかを確認しながら整理することが大切です。
特定技能2号への変更を予定している方、指導対象者の整理でお困りの建設会社の方は、お気軽にご相談ください。
【ご注意】
※本記事は2026年10月24日時点の出入国在留管理庁・国土交通省等の公表資料を基に作成しています。参考様式第1-32号および特定技能制度Q&Aの取扱いは、今後も改訂される可能性があります。実際の申請時には、最新の運用要領、Q&A、申請様式をご確認ください。
