本日、当社で働く外国人社員のB・Sさん、B・Pさんの2名が、一級とび技能士に合格しました。

本人たちがこれまで積み重ねてきた努力を考えると、本当にうれしい結果です。

一級とび技能士は、建設分野の特定技能2号を目指すうえで、技能水準を確認する重要な資格の一つです。国土交通省も、建設分野の特定技能2号について、技能検定1級または建設分野特定技能2号評価試験の合格に加え、班長としての実務経験を求めています。国土交通省

ところが今回、2人が一級とび技能士に合格したからといって、すぐに特定技能2号への在留資格変更許可申請に進めるわけではありません。

当社が今ぶつかっているのが、**「指導対象者」**の問題です。

出入国在留管理庁では、2026年9月10日に参考様式第1-32号に関するQ102を追加し、指導対象者の考え方について見直しを検討していることを公表しています。法務省

今回の記事では、実際に外国人社員を受け入れている小規模建設会社の立場から、
「資格に合格しても、すぐ2号申請に進めない理由」
を整理してみたいと思います。

B・Sさん、B・Pさんが一級とび技能士に合格しました。
現場で積み重ねてきた努力が形になった、うれしい結果です。

一級とび技能士に合格しても、それだけでは2号になれない

建設分野の特定技能2号では、技能試験に合格するだけでは足りません。

国土交通省では、2号特定技能外国人について、建設現場で複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する「班長」としての実務経験を求めています。
とび職については、一級とび技能士のような技能水準に加えて、班長としての経験をどのように積み、どのように証明するかも重要になります。

さらに、2026年8月からは、**「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書(参考様式第1-32号)」**が追加され、2号外国人が実際にどのような立場で働き、誰を指導するのかを確認する内容が加わりました。

つまり、

「一級とび技能士に合格した」=「すぐに特定技能2号へ変更申請できる」

というわけではありません。

技能水準、班長としての実務経験、現在の会社内での役割、そして指導対象者の状況まで含めて整理する必要があります。

今回、B・SさんとB・Pさんは、一級とび技能士という大きなハードルを一つ越えました。
しかし当社では、現時点で次の課題が残っています。

当社の悩みは「指導対象者」が足りないこと

当社は、決して大きな建設会社ではありません。

現場ごとに職長・サブ・一般作業員の役割が変わり、毎日まったく同じメンバーで班を組んでいるわけでもありません。

B・Sさん、B・Pさんについては、今回、一級とび技能士という大きなハードルを一つ越えることができました。

しかし、現行の参考様式第1-32号では、2号特定技能外国人が実際に誰を指導するのかを具体的に整理する必要があります。

当社の場合、現時点では、2人それぞれについて指導対象者を十分に整理できる体制になっておらず、すぐに特定技能2号への在留資格変更許可申請へ進める状況ではありません。

正直なところ、

「一級とび技能士に合格した。でも、まだ2号申請に進めない」

という、うれしさと悔しさが入り混じる状況です。

ただし、この「指導対象者」の考え方については、出入国在留管理庁がQ102で見直しを検討していることを公表しています。

そのため、現時点では、現行様式を前提に準備しながら、今後の運用変更を確認していく必要があります。

当社自身が受入企業としてこの問題に直面しているからこそ、制度上の書式と実際の建設現場をどう整合させるかは、非常に関心の高い論点です。

小規模建設会社ほど悩ましい「指導対象者」

小規模な建設会社では、毎日同じメンバー・同じ役割で班を組むとは限りません。

たとえば、

  • 今日はAさんが職長
  • 明日はBさんが職長
  • ある日はサブとして入る
  • 別の日は一般作業員として入る
  • 現場ごとに班員の組合せが変わる

といったことは、実際の建設現場では珍しくありません。

当社も、まさにそのような小規模建設会社です。

そのため、参考様式第1-32号で求められる**「2号特定技能外国人が、実際に誰を指導するのか」**という関係を、常に固定的に整理することが難しい場面があります。

特に、今回のように2名が同時に一級とび技能士へ合格すると、
「2人とも2号へ進ませたい」
という気持ちはあっても、それぞれについて指導対象者をどのように整理するのかという問題が出てきます。

大企業であれば、部署や班が固定され、指導関係を組みやすい場合もあると思います。
一方、小規模会社では、限られた人数の中で現場ごとに役割を入れ替えながら仕事をしているため、制度上の書式と現場の実態がきれいに一致しないことがあります。

だからこそ、申請のためだけに形式上の上下関係を作るのではなく、
実際に誰が誰を指導しているのか、誰が工程を管理しているのか、2号候補者が現場でどのような役割を担っているのか
を、現場実態に沿って整理することが大切だと考えています。

今回の2人の合格を通じて、あらためて
「技能資格を取ること」と「会社側が2号として働ける体制を整えること」は別の準備が必要
だと実感しています。

合格はゴールではなく、次の準備のスタート

今回の一級とび技能士合格は、B・Sさん、B・Pさんにとって間違いなく大きな一歩です。

日々現場で働きながら、技能を身につけ、試験に向けて準備を続けてきた結果です。
まずは素直に、2人の努力を喜びたいと思います。

B・Sさん、B・Pさん、本当におめでとうございます。

一方で、特定技能2号への移行は、一級とび技能士に合格すれば終わりというものではありません。

建設分野では、

  • 技能水準
  • 班長としての実務経験
  • CCUSの就業履歴
  • 会社の中での役割
  • 指導対象者との関係

などを、それぞれ整理していく必要があります。

今回は、本人たちが技能面で大きく前進した一方で、会社側の受入体制をどう整えるかという課題が、よりはっきり見えてきました。

「本人が頑張れば2号になれる」だけではなく、
受入企業側も、外国人社員が2号として力を発揮できる環境を準備していく必要がある。

これは、実際に外国人社員を雇用している立場だからこそ感じることです。

私自身、建設会社の経営者として、そして行政書士として、2人が次のステップへ進めるよう、今後の制度運用を確認しながら会社の体制も整えていきたいと思います。

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特定技能2号への移行では、今回のような技能資格だけでなく、指導対象者や日本語要件なども含めて確認していく必要があります。

関連する制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。

「特定技能2号の新様式『参考様式第1-32号』についてはこちら」

「特定技能2号の日本語B1要件と経過措置についてはこちら」

建設分野の特定技能2号についてご相談ください

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【ご注意】
※本記事は2026年10月3日時点の出入国在留管理庁・国土交通省等の公表資料を基に作成しています。参考様式第1-32号の「指導対象者」に関する考え方は、現在見直しが検討されています。実際の申請時には、最新の運用要領・Q&A・申請様式をご確認ください。