2026年8月から、特定技能2号の在留諸申請に新たな書類が加わりました。
それが、**「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書(参考様式第1-32号)」**です。
建設分野では、この書類の中で、2号特定技能外国人がどのような立場で働き、誰を指導し、技能実習生や特定技能1号とはどのように役割が異なるのかを確認する内容になっています。
特に注目されているのが、**「指導対象者2名以上」**という考え方です。
一方で、建設現場では、現場ごとに職長や班長、作業員の組合せが変わることも珍しくありません。小規模な建設会社では、書式上の固定的な指導関係と、実際の班編成が必ずしも一致しないケースもあります。
さらに、この取扱いについては、出入国在留管理庁が2026年9月10日にQ102を追加し、指導対象者の考え方を含め内容の見直しを検討していることを公表しています。現行様式は有効ですが、今後変更される可能性があります。
この記事では、建設会社の経営者・外国人雇用担当者の方に向けて、
「第1-32号とは何か」
「指導対象者2名以上とは何か」
「これまでの班長経験と何が違うのか」
を、建設現場の実情を踏まえて分かりやすく整理します。
参考様式第1-32号とは?
**「2号特定技能外国人の業務内容に関する誓約書(参考様式第1-32号)」**は、2号特定技能外国人が、実際にどのような立場・役割で働くのかを確認するための書類です。
2026年8月20日の特定技能関係様式の更新に伴い、特定技能2号の在留諸申請で提出が求められる新しい参考様式として追加されました。
建設分野では、単に「熟練した技能がある」というだけでなく、2号としてどのような業務を行い、誰を指導する立場なのかが重要になります。
現行の様式では、主に次のような内容を記載します。
- 2号特定技能外国人の所属部署
- 役職・地位
- 具体的な職務内容
- 技能実習生・特定技能1号との業務の違い
- 指導対象者
特に建設分野では、2号特定技能外国人から指導を受ける対象者を2名以上記載することが大きなポイントになっています。
ただし、この「指導対象者」の考え方については、2026年9月10日に出入国在留管理庁がQ102を追加し、内容の見直しを検討していることを公表しています。したがって、現行様式の内容だけを見て「2名いなければ必ず不許可」といった断定はできません。
建設分野では「指導対象者2名以上」がポイント
現行の参考様式第1-32号では、建設分野の2号特定技能外国人について、指導を受ける対象者を2名以上記載することが求められています。
また、現行の取扱いでは、指導対象者について、
- 同一事業所で勤務していること
- 原則として同一の所属部署であること
- フルタイムで勤務していること
- 他の2号特定技能外国人の指導対象者と重複しないこと
などが重要な確認事項になります。
ここだけを見ると、建設会社としては
「常に2号1人に対して、固定の指導対象者2人が必要なのか」
と感じるかもしれません。
しかし、実際の建設現場では、現場ごと・日ごとに班編成が変わることがあります。
そのため、この「指導対象者」の考え方が、現場の実態とどのように整理されるのかは重要な論点です。
なお、出入国在留管理庁は2026年9月10日、Q102を追加し、指導対象者が一時的に不足している場合やフルタイムでない場合などについて問い合わせが寄せられていることを踏まえ、指導対象者の考え方を含め内容の見直しを検討しているとしています。
したがって、現時点では
「指導対象者を2名確保できなければ必ず不許可になる」
といった断定は避け、最新のQ&Aや運用を確認しながら対応する必要があります。
「過去の班長経験」と第1-32号は別の話
建設分野の特定技能2号では、2号になる前に、建設現場で複数の建設技能者を指導しながら作業し、工程を管理する班長としての実務経験が必要です。
この実務経験は、分野参考様式第6-3号やCCUS、必要に応じて経歴証明書などで確認されます。
つまり、こちらは
「これまでに、班長としてどのくらいの経験を積んできたか」
を確認するものです。
一方、参考様式第1-32号は、
「特定技能2号になった後、現在・今後どのような立場で、誰を指導し、どのような仕事をするのか」
を確認する書類です。
過去の班長経験そのものを証明するための書類ではありません。
建設会社向けに言い換えると、
過去の班長経験=2号になるために積み上げてきた実績
第1-32号=2号になった後の会社内での役割・指導関係
という違いです。
この2つを混同すると、
「以前、班長をしていたから第1-32号も問題ない」
と考えてしまいがちですが、実際には別々に整理する必要があります。
また、CCUSに職長・班長としての就業履歴を残しておくことは、過去の実務経験を後から確認するうえで非常に重要です。国土交通省も、2号に必要な実務経験の確認資料としてCCUSの就業履歴や能力評価を位置付けています。
小規模建設会社・日替わり班編成ではどう考える?
当社も、まさに小規模な建設会社です。
現場では、毎日同じメンバー・同じ役割で班を組むわけではありません。
たとえば、
- 今日はAさんが職長
- 明日はBさんが職長
- ある日はサブとして入る
- 別の日は一般作業員として入る
- 現場ごとに班員の組合せが変わる
といったことは、実際の建設現場ではごく普通にあります。
そのため、参考様式第1-32号にある
「2号特定技能外国人1人+指導対象者2人」
という関係を、現場で常に固定して運用することが難しい会社もあると思います。
当社でも、現場ごとに職長・サブ・一般作業員の役割が変わるため、書式上の関係と実際の班編成が必ずしもきれいに一致するわけではありません。
だからこそ大切なのは、申請のために形式だけの上下関係を作ることではなく、
実際に誰が誰を指導しているのか、誰が工程管理をしているのか、2号外国人が会社の中でどのような役割を担っているのかを、現場実態に沿って説明できることだと考えています。
出入国在留管理庁もQ102で、指導対象者が一時的に不足する場合や、フルタイムではない場合などについて問い合わせが寄せられていることを踏まえ、指導対象者の考え方を含め内容の見直しを検討しているとしています。
現時点では現行様式を前提に準備する必要がありますが、
「小規模会社だから無理」
「2人を固定できないから申請できない」
と早合点せず、最新のQ&Aや運用を確認しながら整理することが重要です。
当社自身も受入企業として、この点は非常に関心の高い論点です。
制度上の書式と、実際の建設現場の運用をどう整合させるか。
今後の見直し内容を注視していきたいと思います。
Q102で何が見直し中なのか
2026年9月10日、出入国在留管理庁は「特定技能制度に関するQ&A」にQ102を追加しました。
Q102では、参考様式第1-32号について、指導対象者が一時的に不足している場合や、指導対象者がフルタイムではない場合などについて問い合わせが寄せられていることから、指導対象者の考え方を含めて内容の見直しを検討しているとされています。
ここで、現時点の状況を分けて整理します。
現在、確定していること
- 参考様式第1-32号は、2号特定技能外国人の在留諸申請で使用する現行様式です。
- 建設分野では、現行様式上、指導対象者2名以上を記載する取扱いになっています。
- 出入国在留管理庁は、2026年9月10日にQ102を追加しています。
現在、見直しが検討されていること
- 指導対象者が一時的に不足する場合の考え方
- 指導対象者がフルタイムではない場合の取扱い
- そもそも「指導対象者」をどのように考えるか
これらについて、出入国在留管理庁は内容の見直しを検討中としています。
まだ明確になっていないこと
2026年9月24日時点では、見直し後の新しい様式や具体的な運用はまだ公表されていません。
したがって、現時点では現行様式を前提に準備しつつ、今後の更新情報を確認していく必要があります。
特に小規模な建設会社や、現場ごとに班編成が変わる会社にとっては、今後の見直し内容が実務に大きく影響する可能性があります。
現行様式は有効です。ただし、指導対象者に関する運用は今後変更される可能性があります。
そのため、実際の申請では「以前こうだったから今回も同じ」と考えず、最新のQ&Aや申請様式を確認することが大切です。
組織図は必須なのか?
参考様式第1-32号が追加されたことで、
「特定技能2号の申請では組織図が必須になったのか?」
という質問を受けることがあります。
2026年9月24日時点で確認できる出入国在留管理庁の提出書類一覧では、組織図が全国一律の必須提出書類として明記されているわけではありません。
一方で、第1-32号では、2号特定技能外国人の
- 所属部署
- 役職・地位
- 指導対象者
- 具体的な業務内容
などを整理する必要があります。
そのため、会社の規模や組織体制によっては、組織図を添付することで、2号外国人の社内での位置づけや指導関係を説明しやすくなる場合があります。
ただし、大切なのは
「組織図を作ること」そのものではありません。
申請のために、実際には存在しない役職や上下関係を作るのではなく、現場の実態と書類の内容が一致していることが重要です。
小規模な建設会社では、組織図よりも、実際の班編成や職長・班長の役割、誰が誰を指導しているのかを、無理なく説明できる資料の方が実態に合う場合もあります。
したがって、
「第1-32号がある=必ず組織図が必要」
と考えるのではなく、会社の実態に応じて、必要な説明資料を整理することが大切です。
CCUSの就業履歴はなぜ重要なのか
建設分野の特定技能2号では、過去に複数の建設技能者を指導しながら作業し、工程を管理する「班長」としての実務経験が求められます。
この実務経験を確認するうえで、建設キャリアアップシステム(CCUS)の就業履歴は重要な資料になります。
国土交通省も、建設分野の特定技能2号に必要な実務経験について、CCUSの能力評価基準がある職種では、レベル3相当の「就業日数(職長+班長)」を基準として示しています。
建設会社向けに簡単に言えば、
日々の現場実績をCCUSに残しておくことで、後から「どの現場で、どのくらい職長・班長として働いていたか」を証明しやすくなる
ということです。
一方で、参考様式第1-32号そのものが、CCUSの就業履歴の提出を一律に義務付けているわけではありません。
第1-32号は、現在・今後の2号特定技能外国人の役割や指導関係を確認する書類です。
CCUSは、主にこれまで積み上げてきた技能・経験や班長実績を確認するための資料として重要になります。
当社でも、外国人社員の特定技能2号への移行を考える中で、「経験していた」だけではなく、「後から証明できる形で残しておく」ことの重要性を感じています。
日々の就業履歴をきちんと蓄積しておくことは、特定技能2号だけでなく、能力評価や将来のキャリア形成を考えるうえでも大切です。CCUSは、技能者の資格や現場での就業履歴を登録・蓄積し、技能・経験に応じた処遇につなげる仕組みです。
建設会社が今のうちに確認しておきたいこと
特定技能2号への移行を見据える場合、建設会社側でも日頃から記録を整理しておくことが大切です。
特に確認しておきたいのは、次のような点です。
- 誰が誰を実際に指導しているか
- 誰が職長・班長をしているか
- 工程管理を誰がしているか
- 技能実習生・特定技能1号との仕事の違い
- 現場ごとの班編成
- 職長・作業主任者等の配置
- CCUSの就業履歴
- グリーンサイト・Buildee等に登録している情報との整合
ここで注意したいのが、グリーンサイトやBuildeeに登録した内容が、そのまま全てCCUSへ自動反映されるわけではないという点です。
たとえば、グリーンサイト上で班長として登録していても、その情報がそのままCCUS上の職長・班長としての就業履歴に自動的に反映されるとは限りません。
BuildeeやグリーンサイトはCCUSとの連携機能を持っていますが、連携対象となる情報には違いがあります。Buildeeも、CCUSとの連携について「就業履歴情報」「事業者・技能者情報」「現場・契約情報」「施工体制情報」など複数の機能を案内しています。
そのため、
「グリーンサイトで班長登録したから大丈夫」
「Buildeeに入っているからCCUSにも残っているはず」
と考えるのではなく、実際にCCUS側でどのような就業履歴として蓄積されているかを確認しておくことが重要です。
特定技能2号の申請では、後から経験を説明・証明する場面があります。
だからこそ、日々の現場管理システムとCCUSの記録が、実際の現場運用と一致しているかを早めに確認しておくことをおすすめします。
特定技能2号では、参考様式第1-32号への対応だけでなく、2027年4月から導入される日本語B1相当以上の要件についても、早めに準備しておくことが重要です。
「特定技能2号の日本語B1要件と経過措置」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ|第1-32号は「現場実態の整理」がポイント
参考様式第1-32号は、単に新しい書類が1枚増えたという話ではありません。
建設分野の特定技能2号外国人が、会社の中でどのような役割を担い、誰を指導し、どのように働いているのかを整理することが求められます。
特に建設会社では、
- 誰が職長・班長をしているのか
- 誰が誰を実際に指導しているのか
- 工程管理を誰が担っているのか
- 技能実習生・特定技能1号との役割の違い
- 現場ごとの班編成
- CCUSにどのような就業履歴が残っているのか
といった、実際の現場運用を整理することが大切です。
また、申請のために形式だけの役職や上下関係を作るのではなく、書類の内容と実際の現場が一致していることが重要です。
当事務所では、在留資格申請だけを見るのではなく、班編成、CCUS、建設分野特有の手続、受入企業側の運用まで一緒に整理していきます。
建設会社経営者として外国人社員を受け入れてきた経験も踏まえ、現場の実態に合った形で確認していくことを大切にしています。
なお、参考様式第1-32号の指導対象者に関する運用は現在見直しが検討されています。
現行様式は有効ですが、今後内容が変更される可能性があります。
実際に申請する際は、必ず最新の様式・Q&A・運用要領をご確認ください。
【ご注意】
※本記事は2026年9月24日時点の出入国在留管理庁・国土交通省等の公表資料を基に作成しています。参考様式第1-32号の指導対象者に関する運用は現在見直しが検討されているため、実際の申請時には最新の運用要領・Q&A・申請様式をご確認ください。
参考:一次情報
・出入国在留管理庁「特定技能制度」
参考様式第1-32号の更新情報や関連資料があります。2026年9月10日のQ102追加もここで案内されています。
特定技能制度|出入国在留管理庁
・出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」
Q102を直接確認できます。
特定技能制度に関するQ&A|出入国在留管理庁
・国土交通省「特定技能制度(建設分野) 概要・関係資料」
建設分野の2号特定技能外国人に求められる班長実務経験や関連資料がまとまっています。
特定技能制度(建設分野)|国土交通省
建設分野の特定技能2号についてご相談ください
天道行政書士事務所では、在留資格申請だけでなく、建設分野の特定技能2号、参考様式第1-32号、CCUS、班長経験、受入企業側の体制整理なども含めてご相談をお受けしています。
現在の支援体制や現場の実情を確認しながら、必要な手続や準備を整理します。
